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2004.05.24

香月泰男、舟越桂らの「おもちゃ」に感激

23日(土)、札幌芸術の森美術館で開催されていた「作家からの贈り物」展を見てきた。
「アトリエで生まれたおもちゃたち」というサブタイトルがついたこの特別展には、ぼくの大好きな画家
香月泰男が、幼い孫とのお留守番をきっかけに作りはじめたという「おもちゃ」をはじめ、舟越桂、
本郷新、パウル・クレー、ピカソといった有名画家・彫刻家たちが、張りつめた創作のあいまに、
絵筆や彫刻刀を握る手をふと休めて、身近な道具と材料(アトリエや道ばたに落ちていた木っ端や
紙切れ、布切れなど)を使って、愛しい家族のためにつくった人形やドールハウス、絵本など、
いわば「余技」として制作された「おもちゃ」たちが集められていて、それでぼくも、もちろん
家族といっしょに出かけた。

ぼくは長女といっしょにサンドイッチを作り(自家製パンにウィンナーと野菜をはさんだだけですが)、
妻は鶏の照り焼きを焼いたり、温野菜のサラダを作ってくれて、デザートに夏みかんと、水筒には
温かいアールグレイを入れて、しゅっぱーつ!

美術館は、文字どおり「森」の中にあって、それだけでもうピクニック気分。
着いたら、もうお昼を回っていたので、まずはお弁当。
「クラフト館」に、飲食のできるテーブルと椅子があるのだが、そこには木の温もりが伝わってくる
ような手作りおもちゃが置いてあり、それだけで娘たちはもう大喜び。

腹ごしらえが済んだところで、いざ、本命の「おもちゃ」展へ。

クレーからピカソ、本郷新、有元利夫と、次々にいろんなおもちゃが出てくる美術展に、娘たちは
大はしゃぎ。作品保護のためのガラスケースに張りついて見ている。いや、ガラスケースを小突い
たり、作品の間を、あちらからこちらへ、蝶のように飛び回り、学芸員のおばさまたちは気が気で
ない様子。
作品にはお手を触れないでくださいと言われても、子供には、なかなかムリだ。思わずべったり
触りそうになって、とうとうおばさんに制止された。で、一瞬、神妙になるが、すぐケロッと忘れ
てしまって走り回ってしまうところはやっぱり子供だが、そのあたりは、おばさんたちも心得てい
るのか、よほどのことでもない限り黙認してくれるのはさすがに「おもちゃ」展だ。(というか、
ここで子供にこんこんと諭しても、無粋ってもんですよねぇ)

さて、ぼくは、やはり香月の「おもちゃ」をナマで見られて感激だった。
が、それ以上に感動したのは、舟越桂の「おもちゃ」が登場したときの、娘たちの踊るようにうれし
そうな表情を見られたことだ。

去年の6月、SARS禍を避けて緊急一時帰国していたとき、東京都現代美術館で舟越桂の展覧
会があって、妻は娘たちを連れて見に行った(ぼくはそのときすでに、いまだSARS騒ぎの冷め
やらぬ北京に一足先に戻っていた)。で、そのとき、妻は娘たちのために舟越の絵本「おもちゃ
のいいわけ
」(すえもりブックス刊)を買ってやったのだが、娘たち、とりわけ次女は、穴のあくほど
飽かず眺めていたらしい。
その絵本の中のおもちゃたちが、眼前にパーッと現れたのだ。
「うわーっ、遊べる家だ!」
「あっ、ヤギの木馬だ!」
「ねぇ、ほら、あれ、《びんびん》だよ!」と、顔を輝かせながら次々と飛び移っていく。
いちばんびっくりしたのは、次女が、「ねぇ、パパー、ほら、これ、《遠い日になる前に》だよ!」と
言ったことだ。
これは、舟越桂が絵本の中で、妻の千恵子さん、息子の械くん、娘のみもさんのために作った
3つのレンガの家について書いたエッセイのタイトルで、今年まだ6才の次女は漢字は読めない
ので、ふりがなで読んでいたらしいのだが、いつも一人でじいーっと眺めていた。
その難しいタイトルを完全に覚えていたわけだ。
次女は、絵やブロック遊びなどでも、なかなかセンスがよく、うちの家族(特に妻の両親、つまり
彼女のおじいちゃん、おばあちゃんですね!)は「うちの巨匠」と呼んでいるのだが(笑)、やはり
独特の感性があるようだ。

香月や舟越桂の「おもちゃ」を堪能できたこともさることながら、そんな娘の一面をあらためて
発見できて、二重に感激の美術展であった。

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Comments

こんにちは。Blog開設1週間おめでとうございます!
「おもちゃ展」もう終わってしまったのですね。残念ですが、記事を読んでちょっと行ったような気持ちになれました。お嬢さん、かわいい〜。将来が楽しみですね。これからも楽しみにしています。ではまた〜

Posted by: きたきつね | 2004.05.24 at 07:46 PM

はじめまして。もんもんいと申します。
「作家からの贈り物」展、いいですね〜(*^^*)。
私も、船越さんのおもちゃ作品、大好きです。
私は埼玉在住なのですが、ぜひ関東地方にも巡回してくれないかな〜、と思います。

ところで話がそれて恐縮ですが(汗)、中華圏のご研究をされているとのこと、私は専ら朝鮮半島ですが、魯迅の木刻運動に大変関心があり、さらに海外ラジオもかなり好きです(笑)。
メインのサイトの方も、これからも拝見して行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: もんもんい | 2004.05.24 at 08:30 PM

もんもんいさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。

「作家からの贈り物」展、ほんとうにとってもよかったですよ。
舟越さんの『おもちゃのいいわけ』に載っている作品の大部分が「本物」で見られ、大感激でした。
で、関東地方への巡回に関する情報ですが、ちゃんと行きますよ~!
9月8日~10月18日 女子美アートミュージアム
ぜひ足を運んでくださいませ。

ところで、魯迅の木刻運動にご関心がおありとのこと。
わたし自身は、そちら方面は研究というほどのことはしていませんが、商売柄、関心はありまして、以前(もうずいぶん昔、確か10年くらい前)に
町田市立国際版画美術館で「1930年代上海と魯迅の木刻運動」
みたいなタイトル(未確認ですので不正確だと思います)の展覧会があって、いそいそと出かけて行き、図録もしっかり買いましたです
(書架のどこかに埋もれているはず…)。

魯迅とその系譜を引く近代中国の木刻運動については、シカゴ大学のTang Xiaobing教授が、3年前にお会いしたとき著書を準備中だとおっしゃっていたのですが、まだ出版されていないようです。

それから、朝鮮ならぬ、台湾における木刻運動については、「二二八事件」(侯孝賢監督の映画『悲情城市』の背景になった)を描いた版画「恐怖的検査」を代表作にもつ黄榮燦(ホワン・ロンツアン)の生涯を描き出した渾身の力作評伝『南天の虹』(横地剛 著)が、自費出版のかたちで出ています。
http://plaza11.mbn.or.jp/~chikushino/haitsuwan/nanten.html
ご参考まで。

メインのサイトは、基本的に仕事用なので、あまり面白みのない(おカタイ)内容ですが、今後とも、そちらも含め、遊びにいらしていただければ、歓迎!歓迎!熱烈歓迎!でございます。

Posted by: ShimiKen | 2004.05.24 at 09:33 PM

ShimiKenさま

お返事ありがとうございます!
#ところで、私、先の書き込みで、舟越さんの「舟」の字を間違えてしまいました。申し訳ありません。

「作家からの贈り物」展、東京に来るんですね!
もう万難を排して(笑)行きます!!
教えていただき、重ねてありがとうございます。

木刻運動についても、いろいろご教唆いただき恐縮です。
台湾での状況までは目が行っていなかったので、『南天の虹』、ぜひ入手します。
町田の展覧会の図録は、大学の図書館で読んで「行っておけばよかった!」と大後悔しました。
神奈川県立近代美術館でも、内山嘉吉氏からの寄贈コレクションを多数持っていて、関連展示も何度も行っているそうなので、そちらも調べていきたいと思っています。

もともと、韓国の80年代民主化運動時の「民衆版画運動」が、木刻運動の理念から大きな影響を受けているところから、こちらにも関心を持ち出したのですが、韓国の場合、一般労働者を対象に木版教室を開き、木版画によって労働者自身に「自己表現のメディア」を持たせることが、運動の目的の一つになっています。
1980年代に及んで「木版画によるオルタナティブなメディアの形成」などという命題に取り組んでしまった韓国の美術運動について、魯迅の時代などと比較しつつ、その妥当性を検証したい、というのが当面のテーマなのですが、いかんせん道のりが遠すぎます(泣)。
今回アドバイスいただいたことを助けに、これからも広く深く勉強していこうと思います。

元記事からずいぶん話題がずれてしまい、大変申し訳ありません…(--;)。

Posted by: もんもんい | 2004.05.25 at 06:40 PM

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